米粒のような独り言

アラサーオタク女性の独り言です。文章とお絵描きが好きです。おにぎりボウズくんというオリジナルキャラクターを描いて楽しんでいます。※無断転載などご遠慮ください。

私は勉強ができない


私は子供の頃から人の話をあまり聞いていなかった。母親からは「アンタは本当にボーッとしてる子だね」と言われて育った。
魂が抜けている顔をしてときは、だいたい漫画とアニメの世界に逃亡している。空想にふけることが私の趣味なのだ。

のびのびと自由気ままに過ごしてきたおにぎり成、6歳。そんな夢と現実の狭間に生きてきた私に悲劇が起きた。

それは小学1年生になったある日のこと。
算数の授業中だった私は、例のごとくボケーッと空想の世界に浸っていた。そんなとき「では皆さんも数字をプリントに書いてみてください!」という先生の言葉で現実に引き戻された。

周囲を見ると、全員が机に向かって鉛筆を走らせている。手元のプリントを見ると、1から10までの数字が凡例として書かれていて、その横に数字を書き込むスペースがある。

どうやら凡例をお手本として数字を書かなければいけないらしい。私は慌てて鉛筆を手にとって書き出した。こうして私は人の話を聞かない代わりに、妙な直感力と観察力が働くようになったわけだ。

するとその時「おにぎりさん、8の数字はこうして繋げて書くの。おにぎりさんは丸を2つ書いているよね?先生の話を聞いてた?」生徒の様子を巡回する先生が、私の隣に立って声を上げた。8の数字の書き方がよくわからなかった私は、ふたつの丸を縦に並べて書いていたのだ。

その瞬間、周囲から爆発的な笑いが起こった。私のミスが面白くて仕方ないらしい。私は「ギャハハハハ!!」という大きな笑い声に萎縮した。笑い者にされたのは生まれて初めてのことだった。

身から出た錆ではあるが、その出来事は繊細な感性を持つ子供にとって、あまりにも残酷な出来事だった。今でもしっかりと脳裏に焼き付いている。

学年が上がると、家庭科の授業が始まった。
その日の家庭科は、木製キャンバスに3枚の布を縫い重ねて、そのうえにフェルトで作ったキャラクターを貼り付けて飾り物を作るという授業だった。

3枚の布はたくさん用意されている布の中から自由に選んで良いと言われたので、私は3枚とも可愛い柄物の布を選んだ。柄の大きさがそれぞれ違って、どれもお気に入りの布だった。その布のうえにフェルトで作ったプーさんを貼り付けた。
「これは自信作!」と、誇らしげなおにぎり成。
ワクワクしながら先生に見せに行くと、先生は「おにぎりさん、なんで3枚の布の全てが柄物なの?柄物は無地の布と合わせたほうが良いと思う」と、眉をひそめてそう言った。
私は小さい肩を落として席に戻った。心が冷たくなる感覚がしたことを今でもはっきりと覚えている。

私は勉強も授業も学校も好きではなかった。好きではないことはやりたくない。頑固者の私は全てを拒否した。
そして私は大人に可愛がられなかった。図体がでかくて無愛想で頭が悪い、先生にも母親にも相手にされなかった。
大人が近くにいるといつも寂しかったけど、私には何故か友達がいた。幼なじみに誘われて加入したスポーツクラブのおかげで、クラスで孤立することはなかったが、クラブ内では人間関係が大変だったので苦痛だった。

勉強が嫌い、家庭科も嫌い、スポーツも嫌い。
嫌いなことばかりだった私は、大人になっても仕事が嫌いだ。そして今も昔も人の話を聞かない。それでも周囲の人たちに助けられながら生きている。

誰に認められなくても、子供の頃の気持ちは大人になった自分が認めてあげればいい。
今でも私は柄物に柄物を合わせて良かったな~と思っている。

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